平成26年不動産鑑定評価基準改正と継続賃料

平成26年11月施行の不動産鑑定評価基準の改正点は、不動産鑑定評価基準・総論の「第2節 賃料を求める鑑定評価の手法 4.継続賃料を求める場合」に集約されているといっても過言ではありません。

4.継続賃料を求める場合
継続賃料の鑑定評価額は、現行賃料を前提として、契約当事者間で現行賃料を合意しそれを適用した時点(直近合意時点)以降において、公租公課、土地及び建物価格、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の変動等のほか、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容を総合的に勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定するものである。

基準改正により加筆された上記文章を、平成20年2月29日の最高裁判例の判決文(抜粋)を視野に入れて検討してみます。

同項(借地借家法32条1項)の規定に基づく賃料減額請求の当否及び相当の賃料額を判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のもの・・・・・・を基にして、同賃料が合意された以降の同項所定の経済的事情の変動等のほか、諸般の事情を総合的に考慮すべきである。

基準改正により、まず現行賃料を決定した時点を「直近合意時点」と規定しました。最終合意時点や従前改定時点というタームが使われてきましたが、直近合意時点に統一されました。

次に継続賃料の鑑定評価における要因分析の対象に、借地借家法に例示列挙された

  • 土地もしくは建物に対する公租公課の増減
  • 土地もしくは建物の価格の上昇・低下、その他の経済的事情の変動
  • 近傍類似の土地もしくは建物の賃料水準などの量的な変化要因

のほか

  • 賃料額決定の要素とした事情(契約当事者の関係や当事者の主観的判断を包摂した要因など)

が付け加えられました。これは平成15年から20年にかけて出された8本の最高裁判例(「賃料増減額請求の当否および相当賃料額を判断するにあたっては、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべき」という趣旨の一節が入った判例)のダイレクトな影響と思います。

また要因分析は直近合意時点から価格時点間の要因変化を動的に捕らえること、公平を旨とすることも明示されました。

弁護士の先生方には、要約した基準改正に対応した実務を鑑定士に的確に要請するためにも、以下の2つのモデルケースで弁論展開のシミュレーションをお薦めします。

モデルケース

公的鑑定(裁判所鑑定)と私的鑑定(当事者鑑定)では、鑑定士の軸足の置き方は違いますが、弁論展開ですので私的鑑定を前提にお考えください。

ケース1.恩恵的借地関係の解消

ケース2.共同経営からの離脱

文責:五島輝美

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