名古屋圏の賃料改定市場の現状(2019年7月)

名古屋市都心部のオフィスエリアにおいては、名駅地区を中心に供給が非常に少なくなっており、空室率の低下が進むにつれ、新規賃料の上昇が続いています。

そんな好調な賃貸マーケットを反映して、賃料改定期を迎えたテナントに対して、継続賃料の増額を望むオーナーは増加しており、継続賃料市場における賃料上昇(増額改定)事例は非常に多く見られるようになって来ています。

名古屋オフィスエリアにおける空室率と募集賃料の関係

三鬼商事が公表しているオフィスデータのうち、名古屋ビジネス地区における過去10年間の募集賃料(共益費は含まない)と空室率の推移を示したものが下表となります。

賃料については、期間の半ばで反転の動きが認められますが、空室率はほぼ下落傾向にて推移しており、特記すべきは、2016年以降の賃料の伸びと、空室率の低さ(直近では約2.1%)です。

名古屋ビジネス地区が内包する地区としては、名駅地区,伏見地区,栄地区,丸の内地区であり、直近の空室率は、順に1.11%,1.75%,3.28%,3.22%を示しており、名駅地区については同社が調査を開始してから最も低水準となっているようです。

また、賃料についても、名駅地区については、バブル時期及びリーマン前を超す水準であるなど、未曾有の状態と考えられます。

新規供給の影響は?今の好調なマーケットはいつまで続くの?

そんな好調な名古屋オフィスマーケットではありますが、現在の(特に、賃貸人にとっての)好調なマーケットはいつまで続くのでしょうか。

現在、名古屋都心部において竣工予定となっている新築ビルは、主に「(仮称)鹿島伏見ビル/2019年9月竣工予定」・「(仮称)名古屋三交ビル/2020年1月竣工予定」・「(仮称)NFC金山駅前ビル/2020年7月竣工予定」・「(仮称)名古屋三井ビルディング北館/2021年1月竣工予定」が挙げられます。

これらの募集賃料水準は従来より高値であるにもかかわらず、高稼働での竣工が予想されることから、供給不足の状況は続き、当面の賃貸マーケットはオーナー優位の状況が続くものと思料されます。

賃料改定の現状

現在の新規賃料水準は、1年前の水準から全体的に坪単価で2,000~3,000円程度上昇しているような状況とも耳にします。

したがって、オーナーからの増額改定要請は、その多くが実現しているようで、据え置き改定は少なく、要請額満額が通るということも見られるようです。

さらに、定期賃貸借契約である場合は、オーナーにとっては、増額改定交渉が不調に終わる場合は、テナント様に契約期間満了と共に退去していただき、新規のテナントに入居いただくほうが、賃料総額をアップできる結果となることも。

ただし、都心部外縁等にあって競争力に欠けるエリアやスペックが劣る物件など、稼動率の保持に苦慮している物件も見受けられますので、こういった物件については賃料減額交渉の余地は多分にあります。

賃料改定交渉が纏まらない場合

現在の賃貸オフィスマーケットはオーナー優位の状況とも思われますが、普通賃貸借契約の場合は、賃貸人と賃借人間で賃料改定交渉を行い、それが纏まらない場合は調停→訴訟という流れになります。

※過去記事:ちょっと特殊な賃料増減額請求の流れと、各段階で必要な資料 参照

そして、調停・訴訟等で賃料増額が認められるためには、「賃料増減額請求権の存在」が必要となり、その必要性は、「直近合意時点以降の『事情変更』」と「契約の締結の経緯、賃料額決定の要素とした事情等の『諸般の事情』」から判断されるわけです。

※過去記事:継続賃料の決定要素である「直近合意時点以降の事情変更」と「諸般の事情」の具体的内容 参照

したがって、先に述べたように賃貸オフィスマーケットが加熱していても、新規賃料水準が上昇基調にあったとしても、上記「賃料増額請求権の存在」がそもそも認められなければ、争訟等においては、賃料増額に至らないどころか減額されてしまう可能性があることになります。

こういった不測の事態を避けるために、契約内容の推移や条文チェック等の事前準備が非常に必要となりますが、結果、争訟等での主張が認められ難いとなった場合は、争訟等を避け、新規賃料に係る鑑定評価書をもってテナントと交渉するという方法も考えられます。

逆にテナントにおいても、争訟等に至る前の前段階として、オーナーからの増額改定要望に対して、適正な継続賃料水準について鑑定評価書を用いて提示することにより、増額幅を抑える交渉材料として用いることもできるのではないかと思います。

文責:平井 真希

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