継続賃料の決定要素である「直近合意時点以降の事情変更」と「諸般の事情」の具体的内容

不動産鑑定評価において、賃料の増減額を決する際の視点は、大きく分けて、

  • 直近合意時点以降、価格時点までの事情変更
  • 諸般の事情

の2点になります。

これは、借地借家法上の「賃料増減額請求権」発生要件である

  • 現行賃料が客観的に見て「不相当」になっていること
  • 前回の改定から相当の期間が経過していること(解釈上必要とされている)
  • 不増額特約の無いこと(借地人・借家人保護の観点からの規定)

における検討項目と実質的に一致してきます。

但し、正直「どのような事象」を「どこで検討」するのかが分かりにくい部分も有りますので、今回はこの2点について、具体的に踏み込んでまとめておきたいと思います。

直近合意時点以降、価格時点までの事情変更

まず、私的自治・契約自由の原則の下で、「既に合意した内容には、合意したんだから蒸し返さないでね」という発想が働きますので、第一に考えるべき点が、『直近合意時点以降、価格時点までの事情変更』という事になります。

ここでは、以下のような点について検討されます。

  • マクロ的な物価変動・所得水準の変動等
  • 同種物件の賃料水準の変動や賃料改定の程度(下記の土地・建物価格と連動しない場合も有り)
  • 土地価格の変動
  • 建物価格の変動(増改築の有無・機能低下の有無等も含む)
  • 公租公課の変動
  • 家賃の場合、維持管理費等必要所経費の推移
  • 契約内容の変更等の例外的事項(契約当事者の変更による恩恵的関係の解消も含む)

鑑定評価基準的な発想では、一般的要因・地域要因・個別的要因(要するに全部ですが…)についての、上記期間内に発生した事情変更という事になります。

必ずしも「経済事象」の変化のみに限定されていない点、留意が必要です。

諸般の事情

こちらは、契約締結から直近合意時点までの事象になります(逆に、直近合意時点以降の事情はすべて上記での検討となります)。

契約締結の経緯・契約内容等に係る内容で、具体には、

  • 直近号時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料のかい離の程度(「かい離が大きいので収束させるべき」という方向ではなく、「私的自治の原則・契約自由の原則の中で、直近合意時点と同程度のかい離はやむ負えない」という方向性で検討されるのが一般的です。)
  • 契約の内容及びそれに関する経緯(サブリース・オーダーメード賃貸・自動改定特約・恩恵的賃貸借等)
  • 契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間
  • 賃料改定の経緯
  • 賃貸人または賃借人の近隣地域の発展に対する寄与度

等が検討されます。

判例においても、これらの点が考慮されて賃料が決定された例も有るわけですが、私的自治・契約自由の原則も併せて考えますと、この『諸般の事情』をベースに賃料増額/減額を主張・立証することは、「相当な腕力」が必要であると言えます。

参考記事)⇒ 私的自治の原則・契約自由の原則の賃料増減額訴訟における表れ

この記事のまとめ

この記事では、賃料増減額請求権発生の要件になるとともに、改定後賃料を決定する要因にもなる

  • 直近合意時点以降価格時点までの事情変更
  • 諸般の事情

について、具体にまとめてみました。

これらの内容が自分にとって不利に働くものが多いほど、賃料増額/減額交渉は難しくなります。

ただ、法律的な内容・不動産ならではの専門的な内容も多いですから、ご自身だけではなく弁護士・鑑定士も交えて打ち合わせを行い、賃料増減額請求を行うか否か・行う場合はその作戦をじっくりと考えてから行動することを、強くお勧めします。

文責:碓井敬三

▷賃料改定の基礎知識Topへ

お問い合わせ

携帯電話からも利用可なフリーダイヤルを用意させていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

賃料改定.com事務局:(株)碓井不動産鑑定士事務所 担当‐碓井(うすい) 

受付時間は、土・日・祝日を除く9:30 – 18:30となります。
メールでのお問合せはinfo@usui-rea.com(受付は365日・24時間)まで。

コメントは受け付けていません。