名古屋賃料市場レポート(2020年10月号)

本件レポートの趣旨

新型コロナウイルスの影響が経済各所に及び、賃料交渉においても下落交渉への転換期を把握し難い状況に感じられるかと存じます。

本レポートは、作成時点(2020年10月)における賃貸市場動向を概観することにより、賃料交渉等の参考にして頂くことを目的としております。

なお、賃料交渉については、新型コロナウイルスが日本で初めて確認された2020年1月からの影響を気にしがちですが、実際の賃料交渉では、2020年1月からの事情変更を見るのではなく、『直近合意時点』からの事情変更を見る必要が有ります。さらに、実際の賃料交渉では当該物件の立地性等も重要であり、個々の契約締結経緯にも配慮する必要が有ります。

ですので、本レポートをマクロ的な指針として捉えつつ、個々の賃料交渉の際には、我々賃料改定.COMのメンバーにご相談いただければと存じます。

賃貸市場(事業系)の動き

日本銀行が毎月公表している「企業向けサービス価格指数(不動産賃貸/2015年基準)」のうち、事務所賃貸(全体)、事務所賃貸(名古屋圏)、店舗賃貸(全体)、ホテル賃貸(全体)、倉庫賃貸(全体)に係る賃料の動向について、2015年以降の各年1月(2020年は1月と4月以降を表記しております)の指数をまとめたものが以下のグラフとなります。

事務所賃貸については、全体については、2015年以降は上昇を示し、名古屋圏は、4月に下落となったものの、5月からは再度微増基調となっております。

今回より倉庫のデータを追加しておりますが、倉庫については、事務所とほぼ同様に、1月以降も安定的に推移しております。

店舗については5月を、ホテルは6月を底として、賃料は上昇に転じており、以降微増傾向にて推移しております。

オフィス新規賃料及び空室率の推移

前グラフでは、名古屋圏の賃料指数は回復を示しておりましたが、本項では、オフィス市場について具体的に見ていきたいと思います。

三鬼商事株式会社のオフィスデータを基に、2019年9月~2020年9月の名古屋ビジネス地区(名駅地区・伏見地区・栄地区・丸の内地区)の賃料及び空室率をまとめたものが以下のグラフです。

直近である2020年9月の空室率は、名駅地区及び栄地区が上昇し、他方、伏見地区は若干の回復、丸の内地区は大幅に回復を示しました。

三鬼商事のレポートによれば、丸の内地区については、大型空室の募集中止の動きがあった模様です。

丸の内地区はもともと、他地区より賃貸面積が少なく、空室の動きによるボラティリティが相対的に高い地区ではあります。

名駅地区については、これまでの好調な名古屋オフィスマーケットを牽引していただけに、コロナ禍以降、空室率の悪化に歯止めが掛からない状態であり、今後の行方が懸念されるところです。

なお、コロナ禍による移動自粛等が制限された4月以降に解約予告をしたテナントの退去がこれから本格化してきますので、まだまだ空室率の悪化は避けられないものと思われます。

他方、賃料水準については、上記グラフでは、名駅地区及び丸の内地区が若干の下げ、他方伏見地区及び栄地区は若干の上げとなっております。

全般的に小幅な動きであるため、引き続き動向を見守りたいと思います。

居住用不動産の賃貸市場

居住用不動産について、日本銀行が公表している「消費者物価指数(家賃(持家の帰属家賃を除く家賃/2015年基準))」のうち、名古屋市について、2015年から2020年までの各年1月の推移及び2020年1月以降の推移を示したものが下表となります。

これによると、2015年以降下落基調にあったものの2018年1月を底として、以降は安定して推移していたところ新型コロナウイルスの影響により、家賃指数が従来より一段下がったものと読み取れます。

前月の8月は7月より回復したものの、直近9月には再度下落に転じております。

グラフからは4月以降総体的にはマイナス基調にあることから、新型コロナウイルスの影響が、店舗やホテルだけでなく賃貸住宅の賃料にも及んでいることが推察されます。

また、「LIFULLHOME’S見える賃貸経営」に公開されている内容のうち、8月号レポート作成日(8月14日)と今回レポート作成日(10月25日)において、愛知県全域及び名古屋市都心部の空室率及び家賃相場を比較したものが下表となります。

今回において、8月号の内容からプラスや改善となった項目をピンク、逆にマイナスや悪化となった項目を水色に塗っております。

データの更新時期等の兼ね合いで空室率には動きが認められませんでしたが、上記都心部の家賃相場についてはプラス・マイナスが混在している状況です。

中区のみ全部屋で相場が下がっているものの、まだ傾向は読みにくいため、引き続き長期的に観察していきたいと思います。

最後に

本件レポートに関するお問い合わせは、賃料改定.COM(不動産鑑定士による継続賃料研究グループ)構成員である以下までお願いします。

ひびき不動産鑑定株式会社 担当:平井(ひらい)
住 所:名古屋市中区丸の内3丁目20番5号 オアシス日向504号
電 話:052-211-8618
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