名古屋賃料市場レポート(2020年12月号)

本件レポートの趣旨

新型コロナウイルスの影響が経済各所に及び、賃料交渉においても下落交渉への転換期を把握し難い状況に感じられるかと存じます。

本レポートは、作成時点(2020年12月)における賃貸市場動向を概観することにより、賃料交渉等の参考にして頂くことを目的としております。

なお、賃料交渉については、新型コロナウイルスが日本で初めて確認された2020年1月からの影響を気にしがちですが、実際の賃料交渉では、2020年1月からの事情変更を見るのではなく、『直近合意時点』からの事情変更を見る必要が有ります。さらに、実際の賃料交渉では当該物件の立地性等も重要であり、個々の契約締結経緯にも配慮する必要が有ります。

ですので、本レポートをマクロ的な指針として捉えつつ、個々の賃料交渉の際には、我々賃料改定.COMのメンバーにご相談いただければと存じます。

賃貸市場(事業系)の動き

日本銀行が毎月公表している「企業向けサービス価格指数(不動産賃貸/2015年基準)」のうち、事務所賃貸(全体)、事務所賃貸(名古屋圏)、店舗賃貸(全体)、ホテル賃貸(全体)、倉庫賃貸(全体)に係る賃料の動向について、2018年以降の各年1月(2020年は1月と4月以降を表記しております)の指数をまとめたものが以下のグラフとなります。

事務所賃貸(全体、名古屋圏)及び倉庫賃貸については、ほぼ同様な動きであり、2020年1月~10月までは概ね横ばいもしくは微増という動きです。

店舗賃貸とホテル賃貸は、それぞれ底となって以降は、GoTo事業により順調に回復しておりましたが、コロナの第3波の影響でGoToトラベルが2020年12月28日~2021年1月11日において全国で停止され、また、GoToEATについても各県で一時停止や自粛要請がみられるなど、年末年始の書き入れ時での係る措置によって、賃貸市場にもマイナスの影響となることが予測されます。

オフィス新規賃料及び空室率の推移

賃貸市場のうち、本項では、オフィス市場について具体的に見ていきたいと思います。

三鬼商事株式会社のオフィスデータを基に、2019年11月~2020年11月の名古屋ビジネス地区(名駅地区・伏見地区・栄地区・丸の内地区)の賃料及び空室率をまとめたものが以下のグラフです。

これまで名古屋ビジネス地区においては、名駅地区の空室率が最も低く、丸の内地区が最も高いという序列が比較的多期間においてみられた図式でしたが、直近の11月では、真逆の結果となりました。

名駅地区の空室率が4.62%と前月より5ポイント強悪化し、また、3%未満を維持していた伏見地区においても、いよいよ3%を超えました(11月で3.28%)。大型解約や大型空室の募集による影響が響いた模様です。

但し、他方では、高スペックビル等については既に引き合いがあり、既存賃料より高い賃料水準での入居が見込まれるという話も聞きますので、競争力が高いビルについては依然として需要は高いものと思われます。

居住用不動産の賃貸市場

居住用不動産について、日本銀行が公表している「消費者物価指数(家賃(持家の帰属家賃を除く家賃/2015年基準))」のうち、名古屋市について、2015年から2020年までの各年1月の推移及び2020年1月以降の推移を示したものが下表となります。

上表からは、2015年以降下落基調にあったものの2018年1月を底として、以降は安定して推移していたところ新型コロナウイルスの影響により、家賃指数が従来より一段下がったものと読み取れます。

2020年4月以降、総体的にはマイナス基調にあることから、新型コロナウイルスの影響が、店舗やホテルだけでなく賃貸住宅の賃料にも及んでいることが読み取れます。

地価動向

国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課より、2020年11月に「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」が発表されました。

第52回目となる今回は、2020年第3四半期(2020年7月1日~同10月1日)についての地価動向となります。

ここで、名古屋市内の商業地域内の調査地区における地価動向をまとめたものが下表です。

直近の今回は、回復したエリアは依然認められず、3エリアにおいて悪化を示しました。

当該3エリアは、いずれもオフィスより店舗やホテル等の集積が高いため、新型コロナウイルス感染症の影響が強かったものと見受けられます。

公租公課等

固定資産税及び都市計画税は、来年度である2021年度が評価替え(3年に1度行われる固定資産(土地・家屋)の評価額の見直しのこと)の年となります。

この2021年度の評価額は、2020年1月1日時点の評価額に、同1月1日から同7月1日までの時点修正がマイナスである場合はそれを反映して決定されます。

しかしながら、2018年から2020年までの地価上昇が顕著であった地域については、半年間の下落修正を行ったとしても、トータルでは地価が上昇することが見込まれ、都心部を中心に2021年度の税額が上昇する可能性がありました。

これにつき、2021年度税制改正大綱が先頃まとまり、固定資産税額の前年からの据え置きが決定しました。

なお、地価が上昇した土地について税額が据え置きとなるのであり、地価が下落した土地については、従来通り固定資産税は減額されます。

また、この措置は商業地だけではなく、住宅地や農地も対象となり、2021年度の税額のみに適用される模様です。

お問い合わせ

本件レポートに関するお問い合わせは、賃料改定.COM(不動産鑑定士による継続賃料研究グループ)構成員である以下までお願いします。

ひびき不動産鑑定株式会社 担当:平井(ひらい)
住 所:名古屋市中区丸の内3丁目20番5号 オアシス日向504号
電 話:052-211-8618
FAX:052-211-8619
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